株式チャートから生まれた名前
カップ・ウィズ・ハンドルは、米国の投資家ウィリアム・オニールが株式チャートで説明して広く知られるようになった形です。横から見たティーカップのように丸くくぼんだ底(カップ)と、その右端に付いた短く浅い押し(ハンドル、取っ手)からできています。しばらく上がっていた価格がひと休みする過程を説明する形なので、先に上昇があることが条件になり、上昇の継続型に分類されます。オニールはこの形を、業績が良くなっている銘柄が大きな上昇の前に経る底固めとして説明し、形だけでなく業績や市場全体の流れを合わせて見る方法の一部として紹介しました。そのため形だけを切り取ってどんなチャートにでも当てはめると、もともとの説明が前提にしていた条件の多くが抜け落ちます。探すときは、まずカップが始まる前にはっきりした上昇があったかを確かめます。長い下落の終わりに出た丸い底は、形が似ていても文脈が違うので、ソーサーボトムのように別の名前で呼ぶ説明が多く見られます。この記事では形の条件と、それを暗号資産のチャートに当てはめるときに変わる点を扱います。
三つの部分:カップ、ハンドル、縁
カップは、前の高値(左の縁)から下がり、丸く底を固めたあと、同じくらいの高さ(右の縁)まで戻ってきた区間です。ハンドルは右の縁から少し押した短い調整で、カップの上半分の中で終わる必要があると説明されます。二つの縁の高さに引いた線を縁のラインと呼び、ハンドルの高値、つまり縁の付近を終値で超えることをブレイクと見なします。教科書の説明では、カップの底とハンドルで出来高が減り、ブレイクする足で増える姿を典型として挙げます。二つの縁の高さがぴったり同じになることはまれで、右の縁が左より少し低い程度までは典型の範囲内とする説明がよく見られます。確認の順番は、左の縁を決め、底が多くの足にわたって丸く作られたかを見て、右の縁まで戻ったかを見たあと、ハンドルがカップの上半分で短く終わったか、最後にハンドルの高値を確定した足の終値で超えたかです。前の段階が欠けていれば、後の段階がもっともらしく見えても、名前を付けるのは早いと見ます。
例: カップ・ウィズ・ハンドル。前の高値(左の縁)から丸くくぼんだカップが同じくらいの高さまで戻ったあと、カップの上半分で短いハンドルを作り、縁のラインを終値で超える。
- カップ:前の高値からくぼんで戻ってきた丸い底
- ハンドル:カップの上半分の中の、短く浅い押し
- 縁のライン:二つの縁の高さに引いた水平線
- ブレイク:ハンドルの高値を終値で超える足
V字の底は教科書のカップではない
カップの底が丸くなければならないという条件には、解釈が付いています。丸い底は、下げる力がゆっくり弱まり、底の付近でしばらく持ち手の入れ替わりが続いたという意味に読まれます。一方、V字のように急に下がって急に戻った底は、そうした過程を経ずに上がってきたものなので、右の縁で、前の高値付近で買って含み損を抱えていた人たちの売りにまとめてぶつかりやすいと説明されます。そのため教科書はV字の底を典型的なカップとは見なさず、底が深すぎる場合や期間が短すぎる場合も典型から外れたものと見ます。二つを見分けるときは、最も低い価格の近くにとどまった足の本数を見ます。底の付近で多くの足が横に続いていれば丸い底に近く、安値が1、2本の長い下ヒゲだけで付いていればV字に近い形です。よくある勘違いは、短い足で見ればV字の底を長い足に縮めて、丸いと思い込むことです。逆に長引きすぎた丸い底は前の上昇とのつながりが切れ、継続型というより新しい底固めと見るほうが自然です。
ハンドルの役割
ハンドルは、右の縁、つまり前の高値付近で出てくる売りをもう一度こなす区間だと説明されます。前の高値の近くで買って持ちこたえていた人たちが買値付近で手放す売りが、ここで出てくるという解釈です。そのためハンドルはカップよりずっと短く浅くなければならず、カップの下半分まで深く下がると典型から外れたものと見ます。ハンドルがカップの底の近くまで下がれば、カップ・ウィズ・ハンドルというより、底をもう一度試す流れに近くなります。ハンドルで出来高が減ることを重く見る理由も同じです。売りが少なければ取引は減り、価格も少ししか押しません。逆にハンドルで出来高が増えながら深く押すなら、前の高値付近の売りが思ったより多いと読みます。ハンドルなしで右の縁をそのまま突き抜けて上がる場合もあり、これを取っ手のないカップと別に呼ぶこともあります。ハンドルが下向きに少し傾いた小さなチャネルならフラッグに似ており、フラッグの記事で見た短い休みと似た解釈が付きます。
目標値:カップの深さをブレイク地点から
カップ・ウィズ・ハンドルでよく引用される計算は、カップの深さ、つまり縁からカップの底までの距離を測り、ブレイク地点に足すものです。図のように縁が130で底が100なら深さは30で、130付近でブレイクしたなら計算上の目標は160です。ヘッドアンドショルダーやダブルボトムで、形の高さをブレイク地点に移すのと同じ方法です。この計算を使うときに合わせて確かめたいのは、ブレイク地点より上の価格帯です。左の縁より前にもっと高い高値があったなら、その付近で再び売りにぶつかることがあり、初めて到達する価格帯なら参考にする価格がないので、計算上の目標がより頻繁に引用されます。深いカップほど目標も遠くなりますが、深いカップはそれだけ典型から外れているので、目標が大きいほど信頼できるという意味ではありません。深さを金額ではなく比率で測れば結果は変わり、どちらにしても形の大きさを移しただけの計算で、その価格に届く確率を教えてくれるものではありません。
暗号資産のチャートに移すと変わること
もともとの説明は株式を基準にしており、主に週足チャートで、短くて数週間、長ければ1年以上かけてできる形を扱います。深さの基準も株式の値動きの幅に合わせてあり、おおむね高値から3分の1以内にくぼんだカップを典型とする傾向があります。暗号資産は大型株より値動きの幅が大きいことが多く、同じ期間でもずっと深くくぼみやすいうえ、週末なしで取引されるので、同じ本数が占める暦の上の期間も違います。株式基準の深さ・期間をそのまま当てはめると、暗号資産のチャートの反発はほとんどが深すぎるカップになり、逆に足の長さを縮めながら探せば、どこにでもカップが見つかります。週足で数か月かかる形を、暗号資産では日足や4時間足で探すことが多いのですが、足が短くなるほど、丸い底とハンドルのように見える起伏が偶然できることも増えます。どの足の長さとどの深さを基準にするかを先に決めておいてはじめて、形同士を比べられます。
完成前に判断する危うさ
カップ・ウィズ・ハンドルは完成までに時間がかかる形なので、途中の段階で先に名前を付けたくなりがちです。右の縁まで戻った時点ではまだハンドルもブレイクもなく、そこで押し戻されれば、二つの高値が並ぶダブルトップと同じ形になります。ハンドルができたあとでも、縁を超えられずに崩れるケースを形だけで前もって除く方法はありません。すでに上がったチャートでさかのぼって探せば、カップ・ウィズ・ハンドルは簡単に見つかります。この形がどれほどの頻度で当てはまるかは、この講座がバイナンスの足で実際に測った統計に含まれていないため、ここでは述べません。そのため完成前は、名前よりも今どの段階にあるかを書き留めておくほうが正確です。右の縁に接近中、ハンドル形成中のように段階で呼べば、形が続くには次に何が出る必要があるか、何が出れば崩れるかが一緒に見えてきます。ハンドルの安値を下に抜けたり、カップの下半分まで押したりすれば、形は崩れたと見る人が多くいます。結果を隠したままチャートを見るチャート予想クイズで、自分の読みが偶然より優れているかを確かめてみることができます。
暗号資産と株式で違って見える点
オニールの説明はもともと株式、なかでも通常取引と日足・週足を前提にしています。株式では市場が閉まっている間のニュースが翌日の始値の窓(ギャップ)として反映されるので、縁のラインを超えることが、取引時間中の足ではなく始値の窓で起こる場合があります。サムスン電子やSKハイニックスが決算発表の翌日に縁のラインより上で始まるのがその例で、米国の大型テック株は引け後に決算を出すことが多いため、こうした窓がさらによく出ます。時間外取引が活発な銘柄では、通常取引のチャートだけを見るとハンドルの本当の安値が抜けていることもあります。韓国株には1日の値幅制限があり、1日に動ける範囲が決まっていますが、暗号資産は制限なく24時間取引されるので、カップの底が一晩のうちに深くくぼんで戻ることもあります。出来高の性格も違います。株式の出来高はその銘柄全体の約定ですが、暗号資産のチャートの出来高はふつう一つの取引所の約定なので、ハンドルで出来高が減ったという判断に、その取引所の事情が混じります。暗号資産ではレバレッジポジションの清算で長いヒゲが出やすく、カップの底やハンドルの安値がヒゲ一本に左右されがちなので、終値を結んだ線と合わせて見るほうがぶれにくくなります。
実践の点検手順
カップ・ウィズ・ハンドルはできあがるまでに時間がかかりますが、決定的な瞬間はハンドルの高値を超える足一本です。リアルタイムのチャートで進行中の足が縁のラインを超えて見えても、引けるときに線の下へ戻ればブレイクではなく、その足が終わるまで画面のシグナルは何度でも変わり得ます。ハンドルがまだ形成中なら、ハンドルの高値も変わり続けるので、昨日の基準で引いた線を今日もそのまま使ってよいかを見直します。アラートを設定するなら、価格が線に触れた瞬間ではなく、足が確定したあとに終値が線の上にあるときを基準にするほうが、この形の定義に合っています。ブレイクの足の出来高も足が終わってはじめて確定するので、進行中の足の出来高を直前20本の平均と比べると、実際より少なく見えがちです。次の順番で点検します。
- 先行する上昇:カップが始まる前にはっきりした上昇があったか
- カップ:底が多くの足にわたって丸く作られたか
- ハンドル:カップの上半分で短く浅く終わり、出来高が減ったか
- ブレイク:確定した足の終値でハンドルの高値を超えたか
- 無効の基準:ハンドルの安値を割り込んだらどう読むかを決めておいたか
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